笹原亮が綴るベトナムの職人芸

100人百職

APEXベトナムスケッチ提供

 

職人No.008

ベーカリー

 

 写真の後ろに見える薪ストーブで毎日3〜4回パンを焼く。1回に150本焼けるから、1日500〜600は焼くことになるわ。学校や会社から特別オーダーがあったときは1,000本くらい焼くこともある。
 1本2,000ドンで、ほとんどをGo Vap区や3区、10区の小売店へ卸している。

 学校を卒業してから、ハイバーチュン通りにある外資系のパン屋で仕事をしていたんだけど、家族の面倒を見なくちゃならなくなって、仕事を替えた。家の近くの幼稚園で半年ほど働いた後、時間が自由になるので保険の勧誘員になった。これは今でも続けているの。そうやって、自宅にいる時間を優先して仕事を選んできたわけ。

 でもパン屋が忘れらず、家の近くに場所を借りて、1年半ほど前にベーカリーをオープンしたの。この辺には本格的なベーカリーはないし、ベトナム人はパンが好きだからうまくいきそうな気がしたのよ。

 オープンにあたって、フランス人オーナーのパン屋で修行した職人を雇ったわ。だからうちのパンは本当のフレンチスタイルよ。

 技術的なことは全て彼に任せて、わたしはもっぱら経営に専念しているの。それでもほかのパン屋にない特徴を出そうと工夫して、表面にたっぷりと白ごまを振りかけるうちのスタイルができあがった。

 ちょっと試食してみて。皮はパリッとしていて中はふんわり柔らか、白ごまの香りがいいでしょう。粉はこだわって、日本からの輸入品を使ってるから美味しいのよ。

今は1種類のパンを、いくつかの大きさのバリエーションで焼いているだけだけど、将来は大きな工場にして、タペストリーやケーキなどいろんな種類を作っていきたいわね。

【文・構成 : 笹原亮(ジャアク商会)】

 

 

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