笹原亮が綴るベトナムの職人芸

100人百職

APEXベトナムスケッチ提供

 

職人No.011

漢方医

 

 わたしはベトナム人じゃないけど、100職に登場してもいいのかな? ベトナムで仕事してるからかまわないって?それじゃあ喜んでお話ししよう。

 中国のね、海南島で生まれたんだよ。両親は医者とは関係にない仕事だったが、妹が病気がちで、しょっちゅう医者に連れて行くうちに、医学に興味を持ったんだ。
 それで桂林の医学大学で4年勉強した。中国では漢方と西洋医学、両方とも勉強するんだ。専門は漢方だったので、卒業後、広州の漢方専門学校で更に3年勉強して、広西省の国立病院で35年働いた。

 60歳で定年退職して、1年半前にベトナムに来た。まだまだ働けるので、次の仕事を考えているときにベトナム人の友人に誘われたんだ。ベトナムの医療資格は自国のものでOKだから、開業に問題はないよ。

中国では主に針を使って内科の患者を治療していたんだが、ベトナムでは外科や婦人科も診ている。前は外科の専門家がいたが、奥さんが帰ってこいと言うので、中国に帰ってしまったんだ。だから、ただ今外科医募集中だな。

 ベトナムでの問題は漢方薬の質だ。同じ薬でも中国の方がいいものがあるので、そういうのは輸入している。国産より高くなるが、それだけ効能も高い。処方するときに説明して、国産を希望する患者にはそっちを処方するようにしている。

 薬が高い分、全体の医療費も割高だが、それでもベトナム人やベトナム在住中国人の患者が多いね。越僑やヨーロッパの患者も時々やってくるよ。中には高いという人もいるが、実際に飲んでみれば違いが分かる。だからトラブルにはならないよ。

 家族は中国に住んでいる。妻は孫が小さいので世話をしているが、来年になれば手がかからなくなるからこっちに呼ぼうと思っている。ベトナムの生活は中国とそんなに変わらないし、中国語を話す人も多いから妻もきっとここが好きになるに違いない。

 それまではつかの間の独身だ。休日には友達とブンタオに行ったり、病院のスタッフとダムセン公園に行ったりして、大いに楽しんでいるよ。

【文・構成 : 笹原亮(ジャアク商会)】

 

 

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