笹原亮が綴るベトナムの職人芸

100人百職

APEXベトナムスケッチ提供

 

職人No.014

キャディ

 

 わたしはダラット生まれ。両親はコーヒーを栽培しています。コーヒーはダラットの特産品だけれど、値動きが大きいので、なかなか安定した生活はできないわ。兄弟は7人いるけれど、サイゴンで働いている兄とわたし以外はみんな学生だから、両親はまだ引退できないのよ。

 7年前、英語の学校を卒業して、この仕事に就いたの。1日8時間勤務、休みはシフトでだいたい週に1日ね。コースに出るのは週に3〜4回だけれど、テトやクリスマスには1日3回になることもあるわ。コースを廻る以外には、旅行者の案内をしたり雑用をこなしたり、これでも結構忙しいのよ。

 ゴルフの基本的なことは、仕事を始めてすぐに研修で覚えたの。その時に、一番大切なことは「お客様との適度な距離感を大切にする」ことだとキャディマスターから教えられたので、いつも気をつけながら仕事をしています。

 時々お客さんと一緒にプレイすることもあるから、ゴルフの練習も欠かせないわ。わたしのスコアは100前後だけれど、同僚の中にはもっとうまい人もたくさんいるから、上手なキャディと廻りたいときはそう言ってくださいね。

 お客さんは圧倒的に外国人。特にアメリカ人と日本人が多いので、日本語を勉強しようと思って学校に通ったんだけど、3ヶ月くらいでベトナム人の先生がサイゴンに帰ってしまったので、挫折。他の学校もあるけれど、先生が少ないからいつも満員で、なかなか入学できないのよ。

 給料は基本給が月に70万ドン〜90万ドン。これはダラットではすごくいい給料ね。その上チップも頂けるから、収入に不満はないわ。

 休みの日は家族で過ごしたいけど、主人はタクシーの運転手をしているので、なかなか休みが重ならないの。だから子供を連れて、ダラット近郊でピクニックをしたり、買い物をしたり。本当は海が好きなので、年に一度くらいはファンランに行きたいなあ。

 将来のことはあまり考えないけど、この仕事もダラットの街も大好きなので、ずっと続けていきたいと思っています。

【文・構成 : 笹原亮(ジャアク商会)】

 

 

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