
笹原亮が綴るベトナムの職人芸
100人百職
APEXベトナムスケッチ提供
職人No.018
路上靴修理
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アメリカ軍のパイロット養成所で終戦。だから飛行機の操縦はしたことないんだよ。その後はタイニンに行って農業。2年くらい米を作っていた。そこで女房と知り合ってさ、HCMCに戻って2男2女をもうけた。
いろんな仕事をしたけど食えなくて。たまたま兄貴が靴修理を覚えてきて、教えてくれたんだ。それからはずっと同じ場所で毎日仕事をしてる。靴だけじゃあなくて、サンダルや鞄、スーツケースも直すよ。 子供はみんな仕事を持ってる。長男はここで一緒に靴を直しているよ。彼には150万ドンの月給を払うんだ。 昔はヤクザに嫌がらせをされたこともあった。随分困らされたけど、ヤツも金が欲しいんだって気づいて、兄貴がそいつに靴の修理を教えてさ、今じゃあまっとうな同業者だよ。 道具は近くで預かってもらって、バイクで4区から通っている。毎日7時頃から暗くなるまで仕事をして、稼ぎは月に100〜300万ドン。靴底を平らにする機械を買えば、後は安い道具ばかりだから、なかなかいい商売だよ。 靴はたいていその場で直す。底の張り替えなんかは、手仕事で縫っていくから次の日渡しだね。ひとつ修理して2〜5万ドンくらい。ベトナム人は靴が壊れてもすぐに捨てたりしないから、けっこう忙しいよ。 材料も次々に変わった。糊にしたって、アメリカ製の次はゴム糊、それからロシアの糊、今じゃあ強力な化学糊。随分便利になったモノさ。 外国人の客も時々来るよ。英語とフランス語が分かるから、気軽に声をかけておくれ。もっとも日本語は「ありがとう」しか知らないけどね。 【文・構成 : 笹原亮(ジャアク商会)】
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