笹原亮が綴るベトナムの職人芸

100人百職

APEXベトナムスケッチ提供

 

職人No.021

コーヒー農家

 

 両親はフエの出身だけど、オレはダラット生まれ。昔はろくな仕事がなかったが、1991年に借金して土地を買ってからは、コーヒーを中心に果物や花を作ってるんだ。

 土地は金10個(2003.05現在、約US$4,000)。今と比べれば格安だったけど、オレにとっちゃあ大金、いまだに全部返し切れてない。

 斜面だから米はできないけど、この辺は気候も土地もアラビカ種のコーヒーに適してる。1万平米の農地にコーヒーの木が3〜4千本あって、毎年2〜3トンの収穫があるよ。

 アラビカ種はロブスタ種に比べて水やりに気を遣わなくていいけど、水が少ないと収穫量が落ちるから、雨の多寡は気になるね。今年は雨が遅くて、今やっと花が咲いているところだよ。

 採った実は機械で皮を剥いて天日で1週間ほど乾かせば出荷できる。最近は1kgで1万2千ドンだけど、コーヒーは相場ものだろ、だから値動きを見ながら少しずつ売るんだ。それで家の裏にはいつでもコーヒー豆が山積みさ。

 コーヒーは11月頃から収穫が始まる。いつもはひとりで全部の畑を見てるけど、2月までは一家総出だね。コーヒーが終わると6月から桃、8月から柿、10月からミカンと一年中収穫がある。

 自営農家だから好きな時間に働けばいいのさ。普通は朝7時頃から夕方5時頃まで畑にいるけど、雨が降れば家で花の手入れ、晴耕雨読ならぬ晴耕雨花だね。花が好きだから、空いた場所に数百種類作っているよ。苗をを育てて、これがまたテト前によく売れる。でも花はあくまで趣味、売れなくてもいいんだよ。

 決して金持ちじゃあないけど、今の生活は大いに気に入っている。これからも一生ずっとこんな風に暮らして行くつもりさ。

【文・構成 : 笹原亮(ジャアク商会)】

 

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