特別越馬混合部隊
サイゴンホッパーズ
ベトナム北部走破計画異聞

by ジャアク商会ベトナム支局員 笹原亮

 

episode 5

北部の観光

 ディエンビエンフー以外には特に観光をするようなところはない。ディエンビエンフーはベトミンがフランスを破り、独立に大きく前進した歴史の町で、戦争オタクの玉チャンは並々ならぬ興味を抱いている。玉チャンいわく、

「ディエンビエンフーの戦いゆうたら、ウエストポイントの仕官学校の教科書にも載っとるくらい有名なんよ。『映像の20世紀』ちゅうドキュメンタリー映画で、ホーチミンが『我々は蟻にならなければならない』ちゅうて、大砲を山の上に引っ張り上げたんも、ここやしな」

 前日、時間がなくディエンビエンフーをカットしてライチャウに向かうというオプションもあったが、玉チャンの強い反対でディエンビエンフーにやって来たのだ。とはいえ本人は
「観光ったって、バイクでヒューっと見れればいいんでっせ」
 などと言う。

 なにはともあれ博物館へ向かう。
 博物館は11時から1時半まで閉まるので、10時半に着いた一行は急いで館内を巡る。玉チャンは興味深く観覧するがmikは別棟に併設されている少数民族展示が気になるらしく、11時10分前にそっちに向かう。
 ところが担当者がすでに鍵をかけて飯を食いに行ってしまったようで、別棟には入れないのだ。ドアのすき間から覗いたmikは、少数民族衣装の展示を見てどうしても諦められず、モトクロスブーツでドアを蹴飛ばしている。
 あわてて係員がやってきたが、mikが時計を指さして
「まだ11時じゃあねえ」
 とベトナム語で喚くのを理解したのか、ただおろおろするばかり。鍵を持った奴はどこかに行ってしまったのだ。
 結局、戦争展示の方の係のねえちゃんが鍵をもらいに行ってくれたらしく、入れてくれ、親切に説明してくれた。さっきまでけんか腰だったmikもニコニコと説明を聞き、
「ありがとう」
 を連発している。

 その後、戦跡を見ようとバイクで走るが、それがどこなのかよくわからない。市内に戻り、ふと小高い丘を登るとてっぺんに塹壕後と爆撃で開いた大きな穴があった。塹壕の入口らしきところは周りを有刺鉄線の柵で囲まれ、昼休みだからかドアには鍵がかかっている。玉チャンとmikは不法侵入し、塹壕の入口と説明看板を確認。看板はベトナム語のみの表記で、何が書かれているか分らない。

続きはepisode 6へ!

 

 

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