クマプー山本+笹原亮の

雲南・ラオス紀行3

執筆 笹原亮

雲南編 その2
昆明の手前

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 線路は山の中腹を走っていて、尾根をひとつずつ回り込みながら高度をあげる。小さな支流にひとつづつ小さな鉄橋がかかっている。支流が大きすぎて橋が架けられないときは今度は支流に沿って上っていって、橋が架けられるくらい細くなったところで流れを渡りまた本流まで戻ってくる。なんだか回りくどくて時間がかかるのんびり列車だ。
 途中の町は鉄道によって発達したのか、山の中腹に固まっていて、まるで宙に浮いているようだ。空中都市のパノラマを眺め、滝の下をくぐってしぶきを浴び、トンネルをくぐり、1度などはトンネルをでるといきなり橋で渡りきるとまたトンネルという、どこかのテーマパークよりよっぽどよくできた冒険列車なのだ。今まで乗った鉄道の中で輝くナンバーワンは、この路線に決定!という超お勧め列車である。
 中国の汽車はお湯が無料で配られる。お姉さんがポットで運んでくれるお湯を、乗客は各自の小さなポットに移している。自前ポットにはお茶葉が入っていて、何杯も何杯も同じ葉でお茶を飲むのだ。
 今度はお姉さんがお弁当を売りに来た。なんだかとてもおいしそうなのに、売れ行きはあまり芳しくない。そのせいかお姉さんが執拗に勧める。お腹も空いてきたし、勧めにも負けて買ったお弁当、辛い系でとても旨かった。
 谷の対岸に道が見え隠れしている。と思ったら、実は線路で、冒険列車は延々回り込んで谷を越え対岸の線路を進んでいく。2時ごろようやく谷を抜け、山の上の高原の駅に着いた。乗客がどんどん降りて食べ物を買う。つられて降りたクマプーがまたまたお弁当を買って来た。さっき食べたばっかりじゃない、などと言いつつ箸をだしたらこれが超バカウマで、ついついまた食べてしまう。食べすぎて 「もうだめ」 になった我々は、なぜ車内販売が売れないのか大納得。
 山を上りきった汽車は高原地帯を走る。やがて陽が傾き、肌寒くなってきた頃下車駅に到着だ。小さな町に降り立って宿を捜す。頼りは筆談とクマプーが5〜6年前に中国旅行をしたとき覚えた基本語彙。そんなコミュニケーションツールでも使い方次第では何とかなるもの。ほどなく我々は町に1軒しかない宿にたどり着いた。
 宿のお姉ちゃんにパスポートを渡す。お姉ちゃんとロビーにいたおやじが何事か論争をはじめ、結局お姉ちゃんはおやじに言いくるめられる。
 クマプーの解説によると、

姉ちゃん: あ、外国人だ、どうしよう。この宿は外国人は泊められないのよ。

おやじ : なになに、外国人だって?だけどこの町には他に宿はないぞ。

姉ちゃん: そうなんだけどさあ、今から汽車かバスはあったけ?

おやじ : 汽車はもうないだろう。しかたないから泊めてやれよ。

姉ちゃん: そんなこと言ったって、あたし困る。

おやじ : 困るのはこの人たちだろう。1泊だし、大丈夫だ。

 といった会話があって、我々は部屋を確保したらしい。
 クマプーはいかにも中国語を理解したかのように解説したが、私は怪しいものだとにらんでいる。奴の語学能力が私より上なのは認めるが、理解度は?付きなのだ。その場の雰囲気と声の調子、いくつか聞き取れた単語から類推したにすぎない。類推を確信にしてしまえるかどうかが語学力の大きな部分を閉めている。私などは100%理解できないことは理解できないと判断するので、なかなか外国語が上達しないのである。
 ただし奴は数字には滅法強い。この場合の強いは計算じゃあなくて、数字を聞いて理解する力だ。パーと聞けば8が、ウーと聞けば5がすぐに頭に浮かぶらしい。これは語学力とはまったく別の能力だそうなのだが、私にはこの能力がなく、指を折って1から数えないとわからない。だから値段交渉はもっぱらクマプーの役目だ。
 というわけで、理由はどうあれ、とにかく部屋は確保した。
 クマプーがシャワーの場所を聞いてきた。だいぶ肌寒いがお湯はないとのことで、覚悟を決めてシャワーを使いに行く。水は冷たかったけど、2日ぶりのシャワーにさっぱりしてくつろぐ私に、後からシャワーをでてきたクマプーは「お湯出たね!」
奴が水だけだと言ったので信じた私はろくに蛇口も探さなかったのだが、お湯の蛇口があったらしい。奴の語学能力が信用できない好例である。

 翌朝トイレに行く。
 今までは汽車にトイレが付いていたので、悪名高き中国トイレ初体験だ。

トイレ(中国編)

 クマプーの体験によると

「バスの旅で途中のトイレ休憩なんか、みんなが殺到するから早い者勝ちになる。順番を待ちきれない奴が通路の隅ではじめちゃう。次の奴はそれを避けてってやっていくうちに、通路中うんこだらけになる。だから穴までたどり着くのが大変なんだ」

 ということだった。
 実際にはそんなにひどいことはなく穴以外のところでうんこにお目にかかったことはなかった(中国も進歩したのかなあ、それとも雲南だからかなあ:クマプー談)。ただほとんど水洗はなく、横のしきりだけで前は100%オープンなので、しゃがんでいる先客の姿は丸見え。こうなると作戦は2つ。1番奥にしゃがんで人目を避けるか、1番手前にしゃがんで常にガンを飛ばすかだ。
 慣れるまでは奥を選んだけど、それでもだれか入ってくれば気になるのは同じ。そこで3日目あたりから手前に変更。入り口で優位に立てるので、慣れると結構快感である。

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