|
旅の最後の日、ビエンチャンからハノイに飛行機で飛ぶ。眼下に何日もうろついた北ラオスの山並みが広がっている。ラオスは本当に山ばかりだ。山間を流れる川はたまに見えても、道や人家はほとんど見えない。やがて人家が目立ちはじめたのは、多分ベトナムに入ったからだろう。この山のどこかに国境線が引かれている。
ハノイのノイバイ空港で国内線に乗り換え、HCMへ向かう。空港で飛行機を待っていたら、知り合いのベトナム人に会った。彼女はお客さんを連れてHCMに戻るところだ。
彼女と話していて、プノンペンでおきたベトナム航空の墜落事故の話題になった。
彼女が、
「亡くなった日本人は南蛮亭の社長です」
と言う。
しばらく何も聞こえなくなった。現実感が全然ない。
南蛮亭の社長は我々のごく親しい知り合いであるばかりか、私とは一緒に仕事をしているのだ。
気を取り直して、HCMへ電話をかける。悲しい話は本当だった。クマプーと私は何も知らず、山の中をうろうろしていたのだ。 |